認知症の夫とその家族の物語[長いお別れ]

ねぇ、お父さん。つながらないっていうのは、切ないね。

作品概要

タイトル:長いお別れ

作者:中島京子

初版発行:2018年

ジャンル:小説

あらすじ!

私の夫が認知症になった。中学校の校長、図書館長を歴任した東昇平は、数年前からアルツハイマー型認知症を発症し、徘徊を繰り返すようになる。妻の曜子や曜子の三人の娘たちの必死の看病も空しく、緩やかに病状は進行、次第に昇平は寝たきりの生活を送るようになる。そんな中、曜子が網膜剥離を発症し緊急入院。昇平を看病できる人がいなくなってしまった、、、。

そもそもアルツハイマー型認知症って?

認知症には、いくつか種類があるみたいです。今回の主人公、東昇平が発症したのはアルツハイマー型認知症というものです。

アルツハイマー型認知症とは

もの忘れから気付くことが多く、今まで日常生活でできたことが少しずつできなくなっていきます。新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなるなどが特徴的です。また、物盗られ妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。

相談e-65.netより引用

神経細胞が死んで、記憶を担っている海馬という部分を中心に委縮がはじまり、

  • 物忘れ
  • 者盗られ妄想
  • 徘徊

といった症状を発症するそうです。

ことばは知っていても、実際の症状について良く知らなかった私にとって、このことを知っただけでもこの本を読んだ意味があります (^^;

誰にだって発症の可能性がある!

主人公東昇平は、中学校校長、図書館長を歴任、キャリアを積み重ねてきた人物でした。

着実にキャリアを積んでいった、いわゆるエリートだったと言えますね

そんな彼を襲った認知症、初めは少し物忘れが激しくなった程度だった症状も、次第にひどくなり、何しに出かけたかを忘れ、意味不明な言葉を発し、寝たきりになり、、、少しずつ、しかし確実に症状は進行していきました。

認知症を発症する原因はまだわかっていません。

治す方法も分かっていません。できることは、病気の進行を遅らせること。

誰がいつどこでなってしまうかわからない認知症。他人ごとではないですね、、、。

介護って簡単に言うけれど、、、

自分自身が認知症になってしまうのはもちろん辛いのですが、それと同じくらい辛いのは、認知症を患った人を介護する人たちです。

東昇平には、妻と三人の娘がいます。

  • 昇平の妻曜子、60を過ぎた高齢女性
  • 長女茉莉、夫の仕事の都合でサンフランシスコに移住、2児の母
  • 次女菜奈、1児の母、高齢出産を控えている
  • 三女芙美、フードコーディネーターとして働くキャリアウーマン、独身

三人の娘たちは皆家を出ているため、そう頻繁には家に帰れません。どうしても曜子が介護のお世話をするしかないのです。

60を過ぎた曜子が、朝起こしてお風呂に入れて着替えさせてご飯を食べさせて、嫌がる薬をなんとか飲ませ、徘徊しないように常に気を配り、車に乗せて病院へ連れていき、帰ってきたらまたご飯を食べさせて、お風呂に入れさせて、パジャマを着せて、寝かしつけて、、、

無理です、はい。

さすがにこれを一人でこなすのは無理だと思いませんか、、、?

介護施設は1000人待ち!?

「介護が大変なら、施設に預ければいいんじゃないの?」

こんな意見もあると思います。しかしこれがまた大変なのです。

介護施設にも色々種類があって、詳しくは割愛するのですが、まず候補に挙がるのが、特別養護老人ホーム(特養)というものです。

特徴として、

  • 費用が安い
  • 24時間介護可
  • 公的施設のため倒産リスクが低い

等があります。その反面、人気があるがゆえに入居までに時間がかかるそうです。

物語の中での特養入居はなんと1000人待ち!

1000人って、、、待ってられないよ、、、

じゃあ民間ならどうだ!!と必然的に考えが行き着くのですが、民間はなんといっても費用がネック、物語の中での民間老人ホームの費用は下記の通り。

入居費用が10万~100万以上

入居金(前払い金)が、高いところで数千万

、、、これはこれでハードルが高すぎますね。

介護のリアルな事情を、家族の視点から描いた作品

物語の内容そっちのけで認知症の話ばかりしてしまいました。

この作品は、認知症とはどんな病気なのかを、家族の視点から描いた作品となっています。

医師や介護士の視点ではなく、家族の視点であることが重要です。認知症に関する知識がない家族が、認知症になってしまった夫のために奮闘する姿に、読んでいて感情移入してしまいました。

そして、物語に感情移入できるからこそ、認知症についてもっと知りたいという気持ちに私をさせてくれたのだと思っています。

作者の中島京子さんの作品を読むのは今回が初めてでしたが、また別の作品も読んでみようと思いました。

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